50人が本棚に入れています
本棚に追加
カイポから北東に向かい歩きはじめる。
セシルはローザを想い気が焦っているのか、度々リディアとの距離が広がった。
その度に歩みを緩めるが、気を抜くとすぐに広がってしまう。
リディア「お、お兄ちゃん待って!」
セシル(!!)
少し小走りでリディアが追いついて来た。
セシル「すまないリディア……」
リディア「ううん、いいの。急がなきゃね!」
セシル「あぁ。置いていかないよう手を繋ごうか。」
リディアはセシルの手を握ると引っ張り、今度は逆にセシルを急かす。
数刻すると砂漠を抜け平原を抜けると、古い街道跡を見つけた。
昔はカイポからダムシアンへは山々の間の地下水脈を抜けて行ったという。
その街道跡を進むと谷底へと続いていた。
岩肌が露出し、もはや道とは言えない。
気をつけなければ岩で手や足を切りそうだ。
セシル「慎重に進もう。手を離さないようにね。」
さらに奥深くへと進むと、底に水が流れているのに気付いた。
この水脈を上って行くと抜けられるはずだ。
するとセシルはなにかの気配を感じた。
ポチャン……ポチャン……
なにかがこちらに向かって歩いて来る音が聞こえてくる。
すると岩影から一人の男性が現れた。
しかし、その顔には目がなく歯もほとんど抜け落ちていた。
周りを蝿が飛び回り、腐敗臭を放っている。
異界の住人である。
セシル「しまった!コイツらがいたのか……
僕の暗黒剣ではたちうちできない!」
ゾンビーの後ろを見ると後に続いて来る数体のゾンビーが見える。
セシルは直ぐ様、リディアを後方に下がらせ迎え撃つ姿勢を整えた。
すると一斉にゾンビー達が襲って来た。
リディアをかばいながら戦うも、やはり闇の住人には闇の力ではほとんど傷を負わす事はできない。
リディアが必死に治癒魔法をかけてくれるが、セシルは徐々に圧され傷付いていく。
すると、水が滴る岩肌の為か足を滑らせ、膝を落とす。
セシル「やはり駄目なのか……」
セシルが諦めかけたその時……
「唸る業火は全てを焼き尽くす……《ファイラ》!!」
大炎がゾンビー達を呑み込み、瞬く間に焼き尽くす。
セシル「な、なんだ……!?」
突然の閃光にセシル達は目がくらみ、驚く。
すると炎は段々と静まっていく。
跡にはゾンビー達はなく、一人の老人が姿を現した。
セシル「あ、あなたは!」
最初のコメントを投稿しよう!