ダムシアン地下水脈

3/6
前へ
/29ページ
次へ
その老人はセシル達がカイポの入口で会った、魔導師らしき老人であった。 老人「大丈夫だったかお若いの? おや?お主達は確かカイポで会ったの。」 セシル「はい。しかし……ファイラなんて高等黒魔法を使えるなんて! あなたは一体……」 老人「ワシか?ワシの名前は《テラ》 人はワシの事を賢者テラと呼ぶ! まぁ……昔の事じゃがの。」 セシル「テラ!あの天才魔導師テラですか!?」 セシルは驚き立ち上がる。 賢者テラの名は魔導に関わる者でなくても聞いた事があるほどの有名人であった。 白魔法・黒魔法両方を極めるのは困難とされている。 それは二つの魔法が相反する魔力を使う為、二つの魔力を高めるのは不可能とされていた。 しかしテラは片方の魔力を落とす事なく、二つの魔法を極めた。 テラ「ぬっ!お主よく見れば暗黒剣の使い手じゃな! 頼む、手を貸してくれ!」 セシル「どうしたんです?」 テラ「娘のアンナが銀ゆう詩人に騙され、ダムシアンに行ってしまったのじゃ! しかし、ダムシアンには不吉な気配が立ち込めておる…… 心配になってダムシアンに向かう途中なんじゃが、この先の湖におる巨大な魔物に手応っとる。」 セシル「あなたほどの人でもですか……」 カイポで聞いた大蛇の事かも知れないと、思い起こす。 テラは自分の手を見つめて呟いた。 テラ「ふ……歳は取りたくないもんじゃな。 日に日に力が劣っていくのがわかるよ。 今のワシの魔法だけでは倒せん! お主の暗黒剣とならば……」 話の途中、テラはリディアに目を向けるとジッと見つめだした。 テラがリディアの向かって歩いて行くと、リディアは隠れる様にセシルの後ろに周り込む。 テラ「……お嬢ちゃん、召喚師じゃな。それもかなりの資質を持っておる。」 セシル「この子はミストの村の生き残りです……」 するとセシルはこれまでの旅の経緯を告げ、《砂漠の光》を探していると話した。 セシル「そういう訳で僕らもダムシアンへ行かなくてはならないんです!」 テラ「ならば決まりじゃ! ……お嬢ちゃん、名前はなんじゃ?」 テラは微笑み、リディアに話しかける。 リディア「リディア!」 リディアは未だセシルの後ろに隠れたまま、名前を告げる。 テラ「リディアか!かわいい名じゃな。 アンナもこんな小さいかわいい時があった……」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加