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バロン城の北西にミストの村へと続く洞窟がある。
セシルとカインは洞窟へ向かった。
バロン城下町から流れる川を上流へと登ると、広大な湖へと出た。
この湖を北西へ周り込むと、森林の奥深くに洞窟の入口を見つけた。
洞窟に入ると辺り一面霧がかかっていた。
とても深く、数m先も見えないほどだ。
カイン「気をつけろよセシル。
足場にも注意しなきゃならないが、何かいやがる……
恐らくは魔物が巣食ってやがる。」
カインに忠告を受け、慎重に洞窟の奥深くへ入って行った。
吊り橋にさしかった所で不思議な声が聞こえる……
「引き返しなさい……」
セシル「何者だ!」
「直ぐに立ち去るのです……」
カイン「この声の主が幻獣なのか?」
辺りを見回すがそれらしき者は見えない。
そのまま警戒しながら吊り橋を渡る。
すると再び声が聞こえる。
「バロンの者ですね。
ここで引き返せば危害は加えません。
即刻引き返すのです。」
カイン「姿を見せないか!」
カインは辺りを見回すがやはり何もいない。
カインの叫び声だけが洞窟を木霊している。
「引き返す気はないのですね……?」
セシル「僕達は陛下の命令で、この《ボムの指輪》をミストの村まで届けなくてはならないんだ!
先を行かせてもらう。」
「ならば……仕方ありません!」
すると辺りの霧が晴れ、一ヶ所に集まって来る。
その霧は姿を変え、竜を型どる。
大きさは人間の2、3倍はあろう程だ。
カイン「こ、こいつはミストドラゴン!
幻獣の正体はこいつか!」
するとミストドラゴンは尻尾を振り上げ、セシル達に襲いかかる。
二人は難なくかわした。
尾が地面に叩き付けられ、岩の破片が飛び散る。
セシル「まともには喰らえないな……
離れて戦うんだ!」
カインにそう言うと、二人はドラゴンと距離を取る。
ドラゴンは二人を見回し、カインの方へ向かって行った。
カインは身構える。
ドラゴンは大きな口を開け襲いかかる。
カインは紙一重で飛び上がった。
目標を失ったドラゴンは首を回し、カインを探す。
すると自分の頭上遥か高くに目標を見つける。
その桁外れの脚力は、飛ぶドラゴンさえも落とすと言われる。
それが《竜騎士》たる所以でもある。
カイン「くらえっ!」
ドラゴンの遥か頭上に飛び上がったカインは、手に持った槍をドラゴンの額目がけて突き刺した。
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