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「な、なんで俺がそんな」
わけわかんない部活に、なんて言えなかった。そう、何故なら昨日自分で言いはなった言葉を思い出したからだ。
『何でもしますから!!』
ああ、すごくやっちゃった感が否めない。
俺は今更になって過去の自分にビンタを喰らわせてやりたくなった。なんてことしてくれてんだ畜生め。
「男に二言はない、よね?」
相変わらずの仁王立ち。背後には不穏なオーラがちらついている気がして早くもくじけそうで。
ね?と首を傾げられると怯える前にどきっとしてしまうから、美人は嫌なんだ。
「…は、はい」
「やった!部員第二号ゲット!」
ごめんくじけた。ガッツポーズをとる先輩を見て、遠い目をしつつ俺はいろいろなことに別れを告げる。
グッバイ帰宅部、グッバイぐうたらな放課後、グッバイ俺。
「じゃあ、この用紙に名前書いて判おして先生に提出しといてね、できるだけ早くに」
ぐい、と入部届を押しつけられるままに受け取り、去っていく先輩の背中を目で追う。
これがラブレターとかだったらもうちょっとくらいテンション上がったのになあ、とため息をついた。
ふと、
(先輩の名前、聞き忘れたなあ)
なんて思いながら。
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