決められた別れ

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決められた別れ

染め上げた野に、唄い囲む幼い瞳。笑えや笑えやと、どん底から聞こえる呻き。 決め付けた手が小さな腕を掴み引き離す。 僕は泣いていた、大好きな場所に誰もいないから。 響き報す音、滑稽な弱さ抱いて悲鳴を背に走る。 幸福な日々、思い出せば霞む瞳。集えや集えやと、今までの時間を捨てて。 揺れている目は生まれた家を焼き付けて歩く。 母は泣いていた、ありふれた愛に何も残らないから。 終わり報す紙、立派だと涙隠して一人…白湯、啜る夜。 どん底から聞こえる…… 僕にも届いた別れ。
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