a wall

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a wall

抉じ開けた口に、何をねじ込もう。「まだ笑えるだろ」 拒めない口に、息も許さない。「まだ生きているだろ」 問い掛けは、嘲笑う声に消える。 …遠くに見える陽よ、全て焼き尽くして。 感情など一欠片も、残さないように。 この部屋に閉ざされたのは、言葉と希望。 打ち揺れる世界、笑い吐き出そう。「まだ信じているのか」 突き崩す声に、耳も塞げない………ように。 問い掛けは、剥がれていく壁に吸われ。 …遠くに霞む日々、全て埋め尽くした。 救世などまるで見えぬ、この壁と愛には。 息を塞いだ壁の中。
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