第四章 本当のキモチ

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ゼルダ・フィッツジェラルドの言葉を信じるのなら、ニモの心の中にはもっと強い気持ちがある事になります。珊瑚の海に帰りたい気持ちで既にニモの心は一杯になりそうなのにです。 ニモはよく注意してじっくりと自分の心と向かい合いました。   ニモを怪獣にした気持ち、それはニモの心のずっと奥にありました。 その気持ちは人間に対しての激しい怒りと憎しみです。とても暗くてドロドロした嫌な感じになるものでした。 ニモの心の奥底に珊瑚の海に帰りたい気持ちと同じかもっと強い気持ちがあったのです。 ニモはびっくりしてガクガク震えてしまいました。確かに人間に対して怒りと憎しみの気持ちはあったのですが、こんなに強いものだなんて思ってもいなかったのです。 ニモは突然判ってしまいました。 怪獣になったのは人間の町をメチャクチャに壊してしまう為。 全部壊してしまえば人間は珊瑚の海にやってきて海の仲間を捕まえるなんて事はしないだろうと考えたがら。 ニモは自分が心の底でこんなにもしっかりと考えている事に驚きました。頭のいい学者の様に先の先迄読んでいるのです。 暗い気持ちがニモに語り掛けてきます。 「今のままでは人間の全ては壊せない。全てを壊すには………」
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