第六章(裏) 弾け飛ぶニモ

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国一つ滅ぼしたニモはとても満足して一旦珊瑚の海に帰りました。 ニモは少し疲れています。ニモ自身は魔力の使い過ぎただけだと思っています。 ちょっと休んでから、また別の人間の国をメチャクチャにするつもりなのです。 今のニモは足の裏から角の先端迄三百メートル以上もあるので、浅い珊瑚の海では海の中に潜れません。何よりニモの体重で珊瑚は壊れてしまいます。 イソギンチャクをベッドとして眠れないのには少なからずショックを受けたニモでした。 ニモは珊瑚の海で身体を休めるのは諦めて、付近の深い海底でのんびりとしていました。   何日かのんびりとしていると、一匹の大きな黒いコウモリがやって来ました。ゼルダ・フィッツジェラルドです。 「やぁ、キミの魔力で凄い事ができたよ。ありがとう」 ニモは笑顔でゼルダ・フィッツジェラルドを出迎えます。 ゼルダ・フィッツジェラルドは苦虫を噛み潰した様な顔をしています。 「あぁ、お前はとんでもない事をしたな。 俺様の魔力のお陰とは言え、よくもまぁしでかしたモンだよ」 「まだまだだよ。今はちょっと疲れているけど、充分に休んで疲れがとれたらまた人間達をやっつけに行くんだ」 ニモの言葉にゼルダ・フィッツジェラルドは目を輝かせて笑い出しました。 「お前、まだ疲れているのか。ひゃはははははははははは、こりゃぁいい」 いきなり気持ち悪い笑い声を上げたゼルダ・フィッツジェラルドにニモは可哀想な人を見る目をしてしまいました。 「いきなり変な笑い声出してさ、そんなに愉快な事があるの?」 「愉快に決まってるだろ。俺様の魔力が遠からず戻って来るんだからな」 ニモにはゼルダ・フィッツジェラルドの言っている事がよく判りません。 結局、ゼルダ・フィッツジェラルドはその後ニモが何を訊いても適当にはぐらかすだけで帰って行きました。 ニモも大半の魔力を失ったゼルダ・フィッツジェラルドには何も出来ないと判っているのでほうっておきました。
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