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『もうすぐ裕と会えなく
なる事…知ってたよ…』
この言葉が…俺の頭の中でゆっくり思考回路を断ち切って行く。
何か恐ろしいものに睨まれているかのように、俺は動けなかった。
俺を見据える優しい瞳は、今までで、一番美しく見えた。
「裕…あのね?私前からネックレスが欲しかったの。裕とお揃いの紅いネックレス…」
「ネックレス?あぁ、わかった。ちゃんと待ってろよ!約束だからな?」
「うん、ありがとう…裕。」
俺の右手は固く雛の右手を握った。そして、勢いよく雛の病室から飛び出し、出入り口へ向かって走り出した。
病室を抜けた時、
微かに呟いた
雛の言葉に 気付かずに…。
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