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雛の容態が急変した。
高熱と激痛に苦しめられている雛が集中治療室に運ばれている。
約束の日だった。
「雛…しっかりしろよ!」
「裕司…!!もうやめなさい!」
ガラス越しに雛を呼び続ける俺を、母さんが止めた。
「うるっせえ!!!!雛がどうなってもいいのかよ!!」
「もう休ませてあげて!!!!!」
「…は…?」
意味が分からない。
どういうことなんだよ…。
「もう…やめなさい…!!」
母さんまでソレかよ。
やめろよもう…。
なんで皆して雛のことそんなふうに言うんだよ…!
嫌だ…
嫌だ
嫌だ
嫌だ
嫌だ
嫌だ
やめろよ!!!!!
雛を連れてくなよ!!!
やっと、治療が終わった。
なんとか一命はとりとめたらしい。ぐっすり眠っている。
「…雛…。」
病室に運ばれた雛の頬をさわる。凄く…小さい…。
「…裕…ゆ…う…。」
「あ…雛…?」
まだ麻酔が残っているのか、少し虚ろな瞳で俺を捉えた。
ぐったりした両手を見る限り、相当衰弱しているのだろう。
雛の発する言葉も、聞き取るのがやっとだった。
「お店…。」
「え…?」
「行けなくなってごめんね…。」
また…謝った。
どうして…
俺にだけ謝るんだよ…!
「雛…!もういいから休「分かってたよ。」
「…え?」
「私がもうすぐ、裕と会えなくなること…知ってたよ…」
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