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その少女は一言で言うと、とても可愛い少女だった。年齢は十六、七ぐらいだろうか?少なくとも俺よりは年下であることは間違いない。
長い髪を左右に分けて、青いリボンでまとめている。いわゆるツインテールと呼ばれるものだ。
長いまつ毛と、ぱっちりとした目、色白の肌。やや大人びた顔立ちだが、まだまだ幼さを感じる。
服装は、白いシャツに、同じく白のニーソックス、ワインレッドに揃えられたスカートとネクタイ。なかなかのおしゃれさんだ。清純そうな印象を受けるね。
それらが濡れているということは、雨に打たれてきたのだろうか?
「あのー……」
少女が突然話し掛けてきた。
「な、なんだ?」
俺がしげしげと見つめていたことがバレたか?
「私、どこかおかしいところありますか?」
「……」
服装は問題ありません。強いて挙げるならば、あなたがここに居ることがおかしいんです。
と言いたくなったが、噛み砕いて飲み込むことにする。
とにかくここは、ビシッと言って状況を打開しなければならない。
「……名前は?」
俺のへタレ!
「えっ?」
「名前だよ。君の」
うん。へタレだけど、やっぱり名前は聞いておくべきだと思うんだ。
「……メ、メリーさんです」
「……」
メリーさん。
さっきから聞いてたけどさ、どう見ても日本人だろ。
芽里依、とか書くのか?
まぁいいや。
本人が言うんだから、これからはそう呼ぶことにする。
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