first call

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「えっと……。メリーさん?」 「あっ、呼び捨てでいいですよ」 「そう……」 なんか調子狂うなぁ。 「じゃあメリー」 「はい!」 「ここに来た目的は?」 いや、もっと他に聞くことがあるだろ俺! なぜ口に出さない! ……怖いんです。はい。 だって勝手に入ってきたんだぞ。 殺されても文句言えないよ?俺。 「あー……。えーっと……。そのー……」 なぜだ。 なぜそこで躊躇うんだメリー。 これはあれか。躊躇いがちに「か、金よこせ!」とか言う、新しいジャンルか。 「あ、あの!」 メリーが突然声を上げた。 「は、はい!」 気が気じゃない俺も声を上げてしまった。 やっぱりへタレですね。 メリーはそんな俺をよそに、ガバッ!と頭を下げた。 「わ、私を成仏させて下さい!」 「……えっ?」 いきなり何を言いだすんだ?この娘は。 「私を成仏させて下さい」ってどういうことだ?昇天したいってこと? いやいや、いくら何でも下ネタ過ぎるだろ。 ならばあれか。 また非科学的な何かですか? 「うん。何となく状況は掴めた」 「本当ですか!?」 無論嘘である。 だが、俺的にはもっと気になることがある。 「とりあえず、着替えた方がいいと思う」 「えっ?」 「服、よく見てみなよ」 「服?……あっ!!」 はい。 やっと気付いてくれましたね。 服、濡れてるんですよ。 シャツ、透けてるんですよ。 俺、目のやり場に困ってたんですよ。 ……嘘じゃないぞ? 「きゃあ!」 慌てて胸元を隠すメリー。 うん。その方が俺も話しやすいかな。 しかし、これはこれでなかなか 「み、見ないでぇぇぇぇぇぇぇ!!」 突然の悲鳴とともに放たれたアッパーカット。 当然俺は、それを回避する術を持っていない。 「がっ!!」 あぁ……。これは死んだな……。 薄れゆく意識の中で、俺は強くそう思った。
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