first call

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「うん。大体のことは把握出来た」 「本当ですか!?」 「うん」 つまり俺は、済し崩し的にこの珍事件に巻き込まれたってことね。 何でこう、もっとノーマルな出来事が起きないかなぁ。 「頼む立場でこんなこと言うのも何ですけど……引き受けて下さいますか?」 メリーがウルウルした目でこちらを見つめている。 やばい。 これはやばいです。 「……名前」 「えっ?」 「君の名前を教えてくれ」 「メ、メリーで」 「違う違う。そうじゃなくて」 「えっ?」 今度は怪訝な顔でこちらを見ている。 これはこれでなかなか……って、そうじゃなくて。 「本名だよ。本名。協力する上で偽名ってのは、やっぱり気持ち悪いし……」 「……あっ!」 メリーは一瞬にして、ひまわりのような明るい顔になった。 この子はどうして一々可愛いのでしょうね? 「美咲!橘美咲って言います!」 「美咲ね。俺の名前は――」 「豊口悠二さん。ですよね?」 「やっぱり知ってた?」 「はい」 二人で笑った。 あぁ、こういう初々しい感じもいいね。なんか。 ……変態か俺は。 「えっと……。悠二さん!」 メリー改め美咲は、ペコリと頭を下げた。 「不束者ですが、よろしくお願いします!」 むぅ……。なんか恥ずかしいなぁ。 俺は頭を掻くしかない。 と、その時、 グゥ~…… 美咲の腹の虫が、盛大に鳴いた。
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