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「あ、あはははは……」
顔を上げた美咲は、照れ臭そうに頬を掻いた。
「安心したらお腹空いちゃいました」
外を見ると、いつの間にか雨は上がっていた。大分暗くなってもいる。
そろそろ夕飯の時間か。
「人形もお腹空くの?」
「はい。体は人形ですけど、機能は普通の人間と変わりありません」
「でも、さっき首外してたよな?」
「それは大人の都合ってやつですよ!」
便利な言葉だよね。それ。
「んじゃあ夕飯作るから、美咲はテレビでも見ながら待っててくれ」
「あ、手伝いますよ?」
「いいって。お客さんは座ってなさい」
「……分かりました」
大人しくなったかと思いきや、何やら嬉しそうにしている。
「どうした?」
「いいえ。サリエル様のおっしゃった通りの方だな、と思いまして」
あいつは一体何を吹き込んだんだ?悪い気はしないけど……。
まぁいいか。
俺は台所に引っ込むとしよう。確かそうめんが有った筈だよな。
「悠二さん、お料理も上手いんですよね?」
沙里奈の奴はそんな情報まで教えやがったのか。
「楽しみだなぁ」
……ごめん。
茹でて冷やすだけなんだ。
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