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夏の嫌なところというのは、夜になっても暑いところだと俺は思う。特に今日みたいに雨の降った後なんかは、蒸し暑くてたまらない。
例えば秋はいくら残暑が厳しくても暗くなれば涼しくなるし、時が経てば日中も過ごしやすくなる。風の音にぞ驚かれぬる、とか先人も言ってたしな。
それなら冬だって一日中寒いじゃないか、と言われそうだから申し添えておくが、寒さというのはわりと対処出来るものなんだよ。重ね着するとかな。
その点暑さというのはどうしても対処に限界がある。
素裸になったって暑いものは暑い。
じゃあ冷房つければいいじゃないかって？
金掛かるだろうが！
まぁ唯一救いと言えるのは、俺の家が高台にあるということぐらいか。
今こうして下界へと続く道をずずいと下っていても、左を向けばガードレールの向こう側に五十万ドルの夜景が広がっている。
別段暑さが和らぐ訳でもないが、感覚的に涼しい気分になれるのは確か。
三十五万人都市の繁栄と発展の象徴、とでも言っておこう。
詩人だな。俺。
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