second call

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さて、そろそろ先に述べた重大なミスとやらについて話しておこうか。 俺が犯した重大なミス。 それは……。 『足』について全く考えてなかった、ということだ。 俺が今乗っているのは、高校時代から乗り回している自転車。通称『チャリンコフェラール』(三段変速、オートライト、値段は三万、決して変換ミスではない)。 こいつの凄い所は、何といってもその強固なボディ。 ある時は横からガッツンコされ、またある時は後ろからガッツンコされ、またある時はよく分からないけどガッツンコされ、高校時代から現在に至るまでに合計十三回もの衝突実験をくぐり抜けてきた。 まぁその度に俺は何かしら怪我をしてきた訳だが、それはまた別のお話。 そんな優秀な俺の自転車なのだが、やっぱりスピードには(というか自転車をこぐ俺には)限界がある。 今は下り坂だからいいけどさ、帰りは上り坂になるんだぜ?当然のことながら。 さらに、帰りはアイスを十個程持って帰ることになる。 アイスは暑さに弱いというのは周知の通り。 行きはよいよい帰りは怖いってのは、今の俺のことを言うのだろう。 でも、買った店先で十個食べろって言うのも酷な話だし、そんなことしたらやっぱり俺の身に危険が及ぶかも知れない。 生命の危機的な意味で。 戦いは常に二手三手先を考えて行動するものだって某赤い彗星も言ってたし、もうちょっと考えて返事をするべきだったな。 今更そんなこと言っても、状況は変わらないんだけどね。 とにかく、今は下り坂を一気に駆け抜ける快感を味わおうではないか。車があまり通らない時間帯だからこそ出来る芸当。満喫しなきゃ損だぜ。 ……現実逃避とも言うけどな。
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