second call

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しかし現実はやっぱり逃避出来ないもので、俺は目的地であるコンビニに着いてしまった。 自転車を駐車場の隅に止め、店内へと踏み込む。 「いらっしゃいませー」 気の抜けた女性店員の声。 いやさ、客が少ないのは分かるけど、もうちょっとやる気出そうよ。スマイルはゼロ円だよ? それにしても、こんな時間帯まで週間雑誌を立ち読みしてる人ってどうなのよ? 素直に買おうとは思わないのかなぁ。三百円あれば買えるんだから。 最近はテニス漫画がいつの間にか格闘漫画になったりしてるんだろ?何とか球は百いくつまで有るとかどうとか。詳しくは知らないけど、とりあえず混沌としてるのは分かった。 ……あっ、混沌としてるから立ち読みで済ませるのか。 えっと。 アイスのコーナーはここか。 ハーゲン〇ッツのバニラは……これか。 確か十個だったよな。 ……けっこうな量だぞ。 自転車のカゴに入るのか? 「お願いします」 「ありがとうございます」 気の抜けた女性店員がやる気無さげにレジを打つ。 げっ!万札しかないや。 「アイス温めますか?」 どこの国の人!? 「い、いや。いいです」 「温めた方が美味しいのに……」 うん。 人の趣向を否定するつもりはないが、コンビニのレジで「アイス温めますか?」って言われて「お願いします」なんて答える人は、早々居ないと思うな。 少なくとも、俺はアイスは冷えてた方がいい。 「ありがとうございましたー。二度と来ないで下さいねー」 いや……満面の笑みで言われても……。 というか、俺嫌われた? ふん。 まぁいいだろう。 店員に嫌われるくらいどうってことないさ。 何せ本当の地獄は、これからなんだからな……。
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