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「うおぉぉぉぉぉ!!」
アホみたいにきつい坂道を、俺は上る。
一体どこまで続いているのだろう。
下りてきた時はあっという間だったのに、今は途方も無い距離に感じる。
「はぁ……はぁ……」
ギアを二段から一段にシフトダウン。だが、辛い(からいではない)ことに変わりはない。
肺は目一杯酸素を補給しようとしているが、どうやら間に合ってないようだ。
足の乳酸はメーターギリギリまで溜まっている。家に着く頃には溢れてるんじゃないか?
しかし、そんなことでへこたれていては男が廃る。
俺の任務はそう。
カゴの中でガタガタと揺れているハーゲン〇ッツの山を、美咲に届けること。
時間は刻一刻と過ぎている。
こうしている間にもハーゲン〇ッツは溶けていく。
任務を無事に遂行するまでは、自転車を下りる訳にはいかない。
「ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ごめん。
やっぱ無理だわ。
俺は自転車を降りた。
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