second call

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人間というのはわりとうっかりしてるもので、それがまた魅力であったりする。 例えば上着を裏表反対に着ていたり、卵焼きに砂糖と間違えて塩を入れてみたり、下校途中に「あー!私上履きだー!」って言ってみたり。 ……えっ?最後のは無いって? まぁそれだけなら単なるドジっ子で片付けられるのだけど、そのうっかりが時としてとんでもない事件を起こしたりする。 鍵を締め忘れたばっかりに泥棒に入られたとか、エアコンつけっぱなしで出掛けたばっかりに電気代がとんでもないことになったとか、寝坊したばっかりに登校途中に美少女と衝突したとか。 ……えっ?やっぱり最後のは無いって? さて、俺がどうしてこんな話をしたのかと言うと、俺自身がドジっ子だったからである。 うん。 風呂が沸いてると思って、冷たい水を湛えた浴槽に入っちまったんだよ。 いやぁ、びっくりしたね。 冷たい湯槽にも驚いたが、俺がこんな古典的な罠に引っ掛かったことに驚愕した。 冬だったら確実に凍死だ。この時だけは、夏という季節に感謝したよ。 結局沸かすのも馬鹿馬鹿しくなったから、シャワーで汗を流したさ。 これも夏だからなせる業だよな。 冬にやったら同じく凍死だ。 うん。 何だか夏が好きになれそうな気がする。
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