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「で、ここはどこよ?」
沙里奈が目の前にいることにもビックリだが、俺としてはこの快適な空間の方が気になる。
まぁ、こいつが居るってことはロクな場所では無さそうだが。
「そうだな……。この世とあの世の境目、とでも言っておこうか」
なるほど。
この世とあの世の境目。
……ん?
「ちょっと待て」
「どうした?」
「なんで俺がここに居る?俺はまだ、死んじゃいない」
「あぁ。私が連れてきた」
恐ろしいことをサラッと言ってくれるね。
「連れてきたって……」
「こうでもしないと話す機会が無いからな。もっとも、連れてきたのは魂だけだし、まだあっちの世界にはいってないから安心しろ」
いや、体は無事でも魂抜かれてるんだから、実質死んでるのと変わらないだろ。
何してくれてんの?この娘っ子は。
「何ならこのまま持ち帰ろうか?」
ニヤリと死神のような笑みを浮かべる沙里奈。
「やめなさい!」
「あはは。冗談だよ」
お前は本当にやりかねないから怖いんだ。
持ち帰るとか言うな。
「まったく……。あの世の人間が現世に干渉していいのかよ?」
「本来はいけないさ。だが、私は大天使。それなりの地位と権限がある。それを使わない手はないだろう?」
職権乱用っつーんだよ。そういうのは。
大天使なら尚更やっちゃダメだろうが!
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