third call

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「はぁー……。どうして神様もこんな奴を大天使なんかにしたのかねぇ」 「まったくだ」 納得すんな。 「私の場合、地獄送りでもおかしくない存在だからな」 確かに。 こいつは怨念だか怨恨だかでこの世に留まった挙げ句、呪いで人を殺そうとした重犯罪人。俺の涙ぐましい努力が無かったら成仏すらもままならなかった。 地獄送りが妥当な線だよな。 「じゃあ、どうして天国に居るんだ?」 「死んだ経緯が特異だから、という理由らしい。望んで死んだ訳じゃないから、情状酌量の余地ありと見なされたみたい」 ……あぁ。 こいつは確か親に殺されたんだったよな。変な力があるとかで。 諸悪の根源はこいつの両親。なるほどね。 ……だからってテレビから出てきていいという理由にはならない気もするが。 ま、神様は寛大だってことだな。 「それで、どうしてまた大天使なんてものをやってるんだ?」 「大天使採用試験に受かったから」 大天使に採用試験なんてあるのか。 そいつは驚きだね。 どこから突っ込めばいい? 「大天使は人間界で言うところの国家公務員にあたる役職だな。だからって制約がある訳じゃないから、誰でも受けられる。通るのは難しいけど。しかし、なれたら強大な地位と名誉と権限を得られる。受けない手はないだろう?」 沙里奈は再びニヤリと笑った。 神様……。 人材採用はもっと慎重にやるべきだと思うぜ?国家公務員クラスの重役なら特に。 一人間風情がおこがましいかも知れないが、これを見れば分かるだろう? もし聞こえているなら、早急に対処することを要求する。 俺みたいな人間を増やさないためにもな。 お持ち帰りなんてされたら、それこそ大問題だよ?
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