third call

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「……ん?」 眩しさで目を開けると、カーテンの隙間から日光が射し込んでいた。 半身を起こして辺りを見回す。 本棚、机、オーディオ機器。見慣れたものがそこにあった。俺が今寝ているのも、使い古されたいつものベッドだ。 『ラッセラーラッセラー!ラッセラーラッセラー!ポーツマス!ポーツマ』 「うるせぇ!」 突然鳴り出した猫芸人型目覚まし時計を叩いて止める。 例によって谷口から貰った物だが、こいつがあるってことは俺の部屋に間違いない。 手も動くし足もちゃんと付いてる。 無事帰還出来たみたいだな。 「お?」 手元にメモがあった。 何か書いてあるな……。 『決して夢ではないからな。 サリナ』 ……うん。 わざわざメモ残していかなくても分かってるよ。 どこまで用心深いんでしょうねぇ。この子。 「ふっ、んー……」 ベッドから下りて背伸びをする。 体調良好気分は上々。 今日も一日乗り切れそうだ。どこの親父だよって突っ込みは、無しの方向で。 とりあえず、この目覚まし時計を捨ててくるかな。
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