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「もう。デートなら他の所でして下さらない?ここは私の家なんだから」
その女性はニコニコしながら俺に言ってきた。
ということは……。
「美咲の……お母さん?」
「あら、娘のことをご存じで?」
間違いない。
この人は、美咲のお母さんだ。
「お母さ――」
言いかけて、美咲は自分の口を塞いだ。
「あら。あなたも美咲のことを知ってるの?」
知ってるも何も、目の前に居るのが美咲本人であるが……。
言える訳ないよな。
もう死んでるんだから。
憑依してるのは人形なんだし。
美咲もそう思って自分の口を塞いだんだろう。
「い、いえ。美咲さんの友達です!」
現状を打開するにはある程度の言い訳は必要か。
「まぁそうなの。じゃあそちらの方は?」
「わ、私のお兄ちゃんです!」
だからってその返しはどうかと思うぞ。
「あらあら、美咲も隅に置けないわねぇ。こんなハンサムなお友達が居るなんて」
いやぁそれ程でも。
「でも、座ったまま話をする姿はどうかしら?」
「……すみません」
慌てて立ち上がる。
相変わらずニコニコしながら話すのが、何だか恐ろしい。
「さ、どうぞ上がって下さいな。美咲も喜ぶわぁ」
……この展開は何?
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