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「おまたせ」
美咲は膝を抱えて座っていた。
「もういいんですか?」
「それはこっちの台詞だがな」
だいぶ調子を取り戻したようだな。
良かった良かった。
「その……すみません……」
美咲は三日くらい水をあげていない鉢植えみたいになった。
「どうした?」
「ご迷惑をかけちゃったみたいで……」
なんだ。
そんなことを気にしていたのか。
「いいさ。気絶しなかっただけでも大したもんだ。立てるか?」
「は、はい!」
俺は美咲の手を引っ張った。
「んじゃ、早く帰りましょうか」
「あ!ちょっと待ってください!」
おや?
まだ何かあるのか?
「最後に一つ、寄りたい所があるんです。いいですか?」
別に構わないが……。
「ありがとうございます。こっちです!」
今度は美咲が俺の手を引っ張った。
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