fourth call

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美咲は泣き疲れたのか、電車に乗っている間ほとんど寝ていた。 別段起こす理由も無かったのでそっとしておいたが、俺はそこで、振り子電車の威力を目の当たりにすることになる。 揺れるのね。すごく。 行きは美咲と話しつつだったから気にならなかったが、一人黙って乗るとなるとけっこう堪えるものだ。 そもそも、何でわざわざ揺れることを設計されているのかが分からん。 乗客はどうなってもいいのか? もう絶対乗らねぇ……。 「おい、いい加減起きなよ」 「ん……」 そんなこんなで、ひどい乗り物酔いに悩まされながらも、最寄りの駅である綾坂駅に着いた。 何とか駅の外まで引っ張ってきたはいいが、まだ寝呆け眼な美咲。 「眠いですぅ……」 「おいおい……」 足取りもおぼつかない。 立ってはいるが、こっくりこっくりと船を漕ぎつつある。 「仕方ねぇなぁ」 時間的にはもう夜中と言ってもいい。 周りに誰も居ないことを確認し、俺はしゃがんだ。 「ほら、おぶってやるから」 「はい……」 背中に柔らかい感触。 煩悩は捨て去るんだ!俺! 「よっこらせっと」 おっ、意外と軽いな。 ……失礼か。 「くー……」 美咲はもう寝てしまった。 たまには俺の労もねぎらってもらいたいものだがな。 夏休み早々に厄介ごとに巻き込まれ、見ず知らずの人間の為に貴重な時間を割いているんだから。 ……まぁ、悪い気はしないし、半分楽しんでいたりするけれども。 「やれやれ……」 ため息一つ。 俺は自宅へと続く坂道をえっちらおっちらと歩き始めた。 この分だと夕食はいらないかな? 多分美咲は起きないだろうし、作るのもめんどくさい。一食抜いたって死ぬことは無いだろう。 今日こそは、ゆっくりと寝たいものだ。
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