fifth call

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結局、そんなささやかな俺の願いも成就はしなかった訳で。 青い空。 白い雲。 どこまでも続く花畑。 そして…… 「どうした?眉間にシワなんか寄せて」 白いローブのチビ娘。 あぁそうさ。 俺はまた連れてこられたんだよ。 あの世とこの世の狭間に。 「……何か用か?」 努めて冷静に訊く。 穏やかな睡眠を妨害した沙里奈の行為は極刑に処されても文句は言えないぐらいだが、重要な用件があったからかも知れないし、とりあえず言い分を聞いてみようじゃないか。 「いや、特に用はない」 はい。死刑。 こいつ死刑。 だれが何と言おうと死刑だ。 「お前という奴は……」 「ははっ。まぁ落ち着け」 沙里奈はケラケラと笑っていやがる。 落ち着けるか馬鹿野郎。 昨日に引き続き変なところに引っ張ってきやがって。俺は疲労困憊なんだよ。 「悠二の肉体は眠っている。心配することはないさ」 そういう問題じゃない。 体の疲れは回復しても、心の疲れはこんなことされたら回復しないんだよ。 魂すっぱ抜かれて上空何メートルだか分からん所に連れて来られてだな―― 「いや、ここは上空ではない。確かに天界と聞くと空の上を思い浮べるかも知れないけど、それはあくまで人間の想像であって本当は」 「気にするのはそこか!?」 俺が言うと、沙里奈はむっとして腕を組んだ。 「うるさいなぁ。そんなにお持ち帰りされたいのか?」 何を言いだすんだこの娘は。 俺にも言論の自由というものがあって、それを『お持ち帰り』などと言う一種の圧力でもって弾圧するのは、日本国憲法で固く禁止されているんだぞ。 「ここは日本じゃないし、現世と言えるかも怪しい空間だ。そんな場所で常識が通用すると思うなよ?」 誰かこの娘を止める術を知っている者は居ないか? 居たら是非とも助力願いたい。
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