fifth call

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「ったく。俺としたことが、何たる不覚だよ」 どっかりと腰を下ろす。 「ま、他人事でも真剣になれるのが、お前の良い所でもあるんだけどな」 沙里奈もちょこんと腰を下ろした。 「あーあ。変な空気になっちまったな」 「まったくだ。誰のせい?」 「もう一人の俺、かな?」 「なんだそりゃ?」 二人でクスクスと笑う。 穏やかな風が吹き抜けた。 「さてと。そろそろお前を帰してやるか」 おお。 そうしてもらえると俺も助かる。 「美咲の未練もあと一つ。可能な限り手助けしてやってくれ」 「大船なんて大風呂敷は広げない。カヌーか何かに乗ったつもりでいろ」 ついでに注文も申し添えておく。 「あとな、今日の電車賃で俺の財布には冬将軍が早くも到来しちまったんだ。何とかならないか?」 「必要経費ってことで申請しておこう。明日あたり、口座を確認しておいてくれ」 さすが、分かっていらっしゃる。くれぐれも円で頼むぜ?インドルピーとか振込まれても使えないからな。 「天界に限ってそんなヘマはしない。我が神と私を信用しろ」 沙里奈は俺の頭に手を置いた。 「ん?今日はアイアンクローじゃないのか?」 「何なら変えてやってもいいが?」 そりゃ勘弁。 「じゃあな。用があったらまた連れて来るから」 どうせ用が無くても連れて来るんだろ。 と言う暇もなく、俺の意識は急降下していった。
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