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『眠気に耐えて、よく起きてくれた!感動した!眠気に耐えて、よく起きてくれた!感動し――』
「……」
俺は谷口から貰った元首相型目覚まし時計を止めた。
今回も無事帰ってこれたようだ。
体は良好。気分は上々。何となく寝不足な気がするが、まぁ特別苦になることもない。
それにしても、天界から現世に戻ってくる感覚は、やはり慣れるものではないな。
行きはいいさ。寝てる間に無意識のうちに連れていかれるから。だが帰りは違う。中途半端に意識があるからタチが悪い。
沙里奈が頭に触れた瞬間、俺はまるで真下の地面が突然開いて、真っ逆さまに落ちていくような感覚に襲われる。そして洗濯機にぶち込まれたようなきりもみ状態に陥り、体に戻ってくるのだ。そこらの絶叫マシンなんか目じゃないね。
寝不足感覚があるのはそのせいか。
「よいしょっと」
さてと、今日も一日頑張りますか。
一日の始めは、谷口の目覚まし時計を捨てることから。
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