fifth call

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「お?」 新聞を取ろうと郵便受けを覗くと、見知らぬチラシが入っていた。 橙色で、片面印刷だ。 なんだこりゃ? 「あっ……」 チラシを取り出したところで俺は気が付いた。 そうだ。 今日は我が町の夏の一大イベントの日だ。いつかの回覧板にも書いてあった気がする。貼り紙もしてあったか。 もうそんな時季になったんだな……。 「皆神神社夏祭り、か」 皆神神社というのは、町外れの山間にある小さな神社だ。 どんな神様が祀ってあるのか俺は知らないが、発祥はかなり古いらしい。史跡巡りで小学生の時に行ったこともある。 祭ってやつは死者との戯れとか神々への奉納とか、もともと宗教的な意味があるから、皆神神社にはかなり偉い神様が居るのだろう。 沙里奈に訊けば分かるかも知れない。 「一日くらい、いいよな?」 とにかく、年に一度しか催されないんだ。行かないなんてことは、許されないだろう?
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