10410人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゆうひはん、はひはほうほはひはふ」
「……食ってから喋れ」
多分、「悠二さん、ありがとうございます」と言ったんだろうな。
しかしたこ焼き頬張りながらでは行儀悪いったらありゃしない。
「はふ、はふ。おいひいへふ」
「だから食ってから喋れって」
ほくほく顔の美咲。
ホント、美味そうに食べるよなぁ。そこらの料理リポーターよりよっぽど美味しさを表現出来ていると思う。
……食う速さは尋常じゃないけど。
「お一ついかがですか?」
美咲はたこ焼きを爪楊枝に刺し、ついと俺に差し出した。
「いや、俺はいいよ」
美咲の気持ちいいくらいの食いっぷりを見ているだけで、俺の腹は一杯になる。
しかしなぁ、五分と経たないうちに十パック平らげるのはどうかと思うぞ?健康にも悪いし。
「そうですか?それじゃあ遠慮なく」
俺がそんなことを考えているとはつゆ知らず、美咲は最後のたこ焼きを口に放り込んだ。そしてもぐもぐと味わうように噛み、ごくりと飲み込んだ。
「大変おいしゅうございました!」
ニコニコ顔で手を合わせる。
くそ、いちいち可愛いなぁ。
「次は綿飴いいですか?」
……まだ食うの?
最初のコメントを投稿しよう!