sixth call

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『八時より皆神川で花火の打ち上げを行ないます。御覧になる方は皆神川河川敷までお越し下さい』 屋台でラムネを買ったところで、不意に放送が入った。 それと同時に、人の波も動きだす。 もうそんな時間か。 「花火大会なんてあるんですか?」 「ん?まぁな」 皆神神社夏祭りの締めは皆神川での花火打ち上げと決まっている。 なんでわざわざ川まで下るのかと言うと、皆神神社周辺は住宅地で花火を打ち上げるのは大変危険だからだそうだ。 だったら最初から河川敷で祭を開催したらどうかという意見もあったらしいが、この祭はあくまでも皆神での奉納がメインで、花火はそのついで。確かに花火の方が人を集めているが、昔からの伝統を崩す訳にはいかない、とか言う理由で、祭は皆神神社及びその周辺で、花火は河川敷で行なわれるようになったらしい。 実際のところ、皆神神社と皆神川は名前の通りあまり離れていないため、参加者からの不平不満というものはあまりないらしく、放送が入ればみんな大人しく移動する。 ま、結果オーライってやつだな。 「よし。そろそろ帰るとするか」 「えっ?花火見ないんですか?」 そう不安そうな顔をするな。 「いいや、ちゃーんと見るさ」 「でも帰るって……」 そうか。 美咲はまだ、我が家の立地の良さが分かってないな。 「いいから来い。花火見物に最適な、絶好の場所が俺ん家にはあるんだよ」 俺は美咲の手を取り、人混みから抜け出した。
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