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「げほっ!げほっ!」
ちょっと待て。
落ち着け。
今なんて言った?
私のファーストキスを貰って下さい。
俺の記憶が正しければ、美咲は確かにそう言った。
何を考えているんだ?
「お前……。自分が何を言っているのか分かっているのか!?」
「はい。ちゃんと分かっていますよ」
美咲は穏やかな顔をしていた。
「馬鹿野郎!そんなこと軽々しく口にするもんじゃ――」
「単刀直入に言います」
美咲が俺の言葉を遮る。
「私は、あなたのことが好きです」
「な……!」
二の句が継げない。
「好きな人にファーストキスを貰ってほしいと願うのは、いけないことですか?」
美咲は少し、悲しそうな顔をした。
「私はこの世に帰ってきて、正直不安でした。果たして本当に成仏なんて出来るのか。もしかしたら、この世をずっと彷徨うことになるんじゃないかって、不安で押し潰されそうでした」
「……」
「そんな私を支えてくれたのは、悠二さん、あなたです。あなたは人間ではない私に優しくしてくれて、我儘も聞いてくれて、遊びにまで連れていってくれました。そんな人にファーストキスを貰ってほしいと願うのは、いけないことですか?」
……畜生。
なんか言えよ。俺。
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