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「あはは……。何言っているんでしょうね。私。悠二さんの気持ちも聞かないで」
美咲はポリポリと頬を掻いた。
「でも、私は悠二さんが大好きです。この気持ちは変わりません」
「……」
やめろ。
そんな顔で俺を見ないでくれ。
いくら理性が頑丈な俺だって、何をしでかすか分からない。はっきりいって限界に近い。一体どうすれば……。
……いい加減にしろ。
いつまで現実逃避をするつもりだ?
お前の目の前に居る女の子は、本気で真剣な気持ちをぶつけてきているんだぞ?お前はその気持ちに答えようともせずに逃げるような、そんな最低な人間だったのか?本気で真剣な気持ちには、本気で真剣な気持ちで答えるのが筋じゃないのか?
理性がどうとか、そういう問題じゃない。
お前は一体どうしたいんだ?
豊口悠二。
「……美咲」
俺は、美咲の両肩に、手を乗せた。
そうだ。
俺がこの子にやることは、最初から決まっているじゃないか。
「……はい」
美咲は少し頬を朱に染めて、目を閉じた。
瑞々しい唇が艶めかしく俺の目に映る。
「……」
そして、俺は――
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