sixth call

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「あっ……」 美咲の額に、そっとキスをした。 「悪いな。乙女の純潔は、やっぱり男が守らなくちゃいけないんだ」 美咲は自分の額を撫で、惚けた顔で一言。 「勿体ないですね。せっかくのチャンスだったのに」 「据え膳を食わぬは男の恥ってか?くそ喰らえだな」 というか、女の子がそんなこと言っちゃいけません。 「……未練、残っちゃいますよ?」 「良かったじゃないか。早めに転生させてもらえるかも知れないぞ?」 俺は五十万ドルの夜景に目を向けた。 「美咲の気持ちは嬉しい。しかし俺としては、まだ気持ちの整理がついてないってのもあるんだ。その場の空気で流される訳にもいかん。それこそ失礼だ。それに、あいつのこともあるしな」 「サリエル様、ですか?」 「……あぁ」 まったく。 つくづく俺は情けない男だと思う。殴ってくれてもいい。罵ってくれてもいい。 だが、俺が足りない頭をフル稼働させて出した結論がこれだ。 「だからさ、しばらくしたらまた俺ん家に来てくれ。その時までには、俺も自分の気持ちに踏ん切りをつけておく。他力本願で申し訳ないが、こればっかりは譲る訳にはいかん」 「……かたいんですね。色々と」 美咲はため息をついた。 しかし、顔は笑っていた。 「まったくだ。我ながら、随分損な性格だと思う」 つられて俺も笑った。 「分かりました。近いうちに改めて、悠二さんの所を伺います。良い返事、期待していますから」 「善処しよう」 花火の上がる音。 どうやら花火大会が再開されたようだ。
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