seventh call

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「あっ、そうだ。悠二さん」 今度は美咲か。 「ん?」 「実はこれなんですけど……」 取り出したのは、大きなクマのぬいぐるみ。 俺が祭の射的で取ってやったものだ。 「これ、天界に持っていきたいんですけど……。いいですか?」 いいも何も、俺が渡した時点でクマさんは美咲のものである。俺がどうこう言う問題ではない。 「あぁ。構わないよ」 「やったぁ!これで寂しい思いをしなくて済みそうです!」 美咲はクマさんをぎゅーっと抱き締めた。 俺もクマさんになりたいです。 「……もういっそ、現世に残していこうかな」 ……沙里奈さん? 何を仰っているんですか? 「私は構いませんよ?そしたらまた、悠二さんのお世話になるだけです」 ……美咲さん? 何喧嘩を売るような真似をしているんですか? 「貴様、私の悠二に手を出したらどうなるか」 「ちょっと待て」 俺はお前の所有物になった覚えはないぞ? 「なっ!?」 沙里奈は信じられないというような顔になった。 「悠二。よもやあの約束、忘れた訳ではないだろうな?」 沙里奈との約束? ずっと傍で云々とかいうやつか? 忘れる訳がないだろう。 大切なこと何だから。 「だったらお前は私のものだ」 なぜそうなる。 「そうですよ。決めるのは悠二さんで、サリエル様ではありませんよ?」 美咲。 だから何でそんなに挑戦的な口調なんだ? 「……いいだろう。私が転生しても、お前は転生出来ないようにしてくれる」 「いいですよ?そしたら私はサリエル様が現世に干渉していたことを、神様に報告するまでです」 「お前の未練を晴らせてやったのは誰だ?」 「それとこれとは話が別です」 「……」 「……」 あのー……。 俺を挟んで火花を散らすのはやめてもらえませんか?
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