first call

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とりあえず落ち着こう。焦っていては冷静な判断は出来ない。 それにはまず、再び扇風機に向かって「あー」と ジリリリリリリ!ジリリリリリリ! その暇さえ与えてくれないのか……。 「もしもし」 『私メリーさん。今、中央公園に居るの』 「おい!いい加減にし」 ブッ 中央公園。 家から、歩いて五分。 やはり近づいてきてる。 一体なにが目的なんだ? ジリリリリリリ!ジリリリリリリ! ……とてもやばい気がする。 ただの悪戯電話にしちゃ、手が込みすぎてやしないか? まさか、また幽霊とか怨霊とか言い出すんじゃないだろうな? 「……もしもし」 『私メリーさん。今、あなたの家の前に居るの』 「はっ?」 ブッ 今、なんて言った? 家 の 前 に 居 る ? 携帯を持つ手が震えている。 汗の量も尋常じゃない。 今、玄関の前に、何かが居るというのか? ……いや、待て。 悪戯の線も拭えない。 心当たりがあるとすれば、やはり谷口所属の「ミステリーサークル」か。あそこの連中ならやりかねないな。 一度谷口に連れられて会ったことがあるが、常人の域を逸脱している連中ばかりだった。 何かにつけて予言だの宇宙人だのとこじつけ、ことある度に「な、なんだってー!!」と奇声を上げる。 暇潰しと称してこんな馬鹿げたことをしてきても、何ら可笑しくはない。 しかし、もし万が一、悪戯ではないとしたら? 半年程前の「呪いのビデオ事件」以来、俺は幽霊や怨霊などの非科学的な存在を肯定している。何せ、幽霊相手に一週間過ごしたからな。名前確か、沙里奈とか言ったか。 どちらにせよ、一度玄関まで行って確かめるしかないな。 悪戯ならば良し。いや良くないけど。 悪戯じゃなかったら……死ぬ?俺死ぬ? 今年やっと酒を飲める歳になったのに? 今まで律儀に守ってきたのに? 「はぁー……」 もう溜め息しか出ない。 俺に平和な日々を享受する資格はないのか? まぁ経験値的には三面のボスぐらいなら片手で倒せるレベルだけどさ。前の体験から。 でもこんな仕打ちは無しでしょ。 「はぁー……」 再び溜め息をついて、俺は立ち上がった。
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