seventh call

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「……ん?」 目を開けると、満天の星空が俺を迎えてくれた。 仰向けに倒れているということは、無事現世に戻ってこれたのだろう。 「夢……ではないな」 後頭部に残る鈍痛。 これは間違いなく美咲に殴られたせいだ。 まったく。 えらい土産を置いていきやがって……。 「……ん?」 どうやら美咲が残していったのは、でかいタンコブだけではないようだ。 ベランダの床にちょこんと立っていたのは、白いシャツにワインレッドに揃えられたネクタイとスカートに髪型はツインテールの、手の平サイズの人形だった。 間違いない。 美咲が憑依していた人形だ。 名前は確か、メリーと言ったか。 「やれやれ……」 人形を手に乗せ、ため息を一つ。 自然と顔がほころんだ。 「ペットは飼い主に似ると言うが、人形は持ち主には似ないんだな」 花火が一つ空に上がり、鮮やかに散っていった。
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