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余命が告げられたけど、僕の体はいたって普通に機能した。
最近に体調を崩して以来、むしろ調子が良くなった。
季節は夏を終わりに近付けていて、過ごしやすくなってきた。
特に何かしたい事なんて浮かばなかったから、仕事に打ち込む事にした。
早紀とはあれ以来会っていない。
もうすぐ2ヶ月になる。
「圭、最近頑張ってるな」
ビルの屋上で休憩をしていたら、仕事仲間が煙草の煙を辺りに撒き散らしながら歩いてきた。
「暇だからね」
図々しくベンチの真ん中に座る僕を、千尋は強引に寄せて座った。
「何だよ。早紀ちゃんはどうした」
「別れたよ」
空が高いなあ、なんて考えながら答える。
こんな事を軽く言えるなんて、我ながら無神経だと呆れた。
「どうして、仲良かったんじゃなかったのか」
途端に真剣な顔になる千尋。
そんな顔するなよ。
罪悪感がするだろう。
「すれ違いってやつかな」
また嘘をついた。僕は天国に行けるんだろうか。
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