2.

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
    余命が告げられたけど、僕の体はいたって普通に機能した。      最近に体調を崩して以来、むしろ調子が良くなった。        季節は夏を終わりに近付けていて、過ごしやすくなってきた。      特に何かしたい事なんて浮かばなかったから、仕事に打ち込む事にした。        早紀とはあれ以来会っていない。    もうすぐ2ヶ月になる。          「圭、最近頑張ってるな」        ビルの屋上で休憩をしていたら、仕事仲間が煙草の煙を辺りに撒き散らしながら歩いてきた。        「暇だからね」        図々しくベンチの真ん中に座る僕を、千尋は強引に寄せて座った。        「何だよ。早紀ちゃんはどうした」        「別れたよ」        空が高いなあ、なんて考えながら答える。      こんな事を軽く言えるなんて、我ながら無神経だと呆れた。        「どうして、仲良かったんじゃなかったのか」        途端に真剣な顔になる千尋。      そんな顔するなよ。    罪悪感がするだろう。        「すれ違いってやつかな」        また嘘をついた。僕は天国に行けるんだろうか。       
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!