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いつの間にか昼が短くなって、あの雨も降らなくなった。
突然入った休み。
久しぶりに暇を持て余した僕は、部屋の掃除をしていた。
ベランダに干した布団が夕方の太陽でオレンジに染まっている。
聞かなくなったCDを整頓していたら、ふと手が止まった。
早紀が好きだからと置いていたCD。
柔らかな色彩のジャケット。
そういえば、会わなくなって4ヶ月経つ。
元気だろうか。
本当にあのまま会わなくなったから、色々と早紀の私物が部屋に残されている。
ちゃんと返そうと思い、僕は早紀の物を一つの箱に入れてまとめた。
次の日に行った病院。
また薬が増えた。
自覚は無くても、きちんと体は余命に向かい悪くなっているようだ。
帰り道に通った公園でベンチに座る。
色々やってみようかと思い、今更煙草を吸い始めた。
薬が増えたのは、こいつのせいだろうか。
最初に比べてだいぶ慣れた煙草の味。
美味しいと思った事は一度もないが、いい暇つぶしにはなっている。
上を向くと視界いっぱいに木が枝を伸ばしている。
はらはらと落ちていく葉が目の前を通り過ぎた。
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