地面に縛られた少女と時間を気にする僕

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真夏の果実を焦がした時のような、残念な風が吹き抜けた。それに満足して日陰に退避する。 十畳程度のリビングに響いた車と蝉の鳴き声、五月蝿いからイヤホンをして、感覚の一つを閉じる。 とりあえず、おはよう、自分。昼とも夜とも判断はつかないが、起きたということだけで十分だろう? 結局のところこれは小説なのだから。 「機嫌を悪くしたわ、窓閉めてくれる?」 僕の隣で起きていたのか、これを待っていたのか、率直な感想を述べたのは、名もない少女。残念ながら彼女の出番はこれだけだ。 「勝手に決めないで」 モットセリフホシイ。少女が訴える。 「オーケー、それなら後三つぐらいあげるよ」 少ないわね、と目が訴える。僕としては、地文が多い方が気持ちがいいが、いかせん今時ってやつは会話が好きらしい。だからといってイタズラにページ数は変えられないんだよ。 「ねぇ。ところでここはどこ?」 後二回。 「僕が聞きたいところ。少なくとも楽園とかじゃないよ」 ベッドが一つ、ソファーが一つ、テーブルが一つ、タンスが一つ、壁掛け時計一つ……デジャブは感じる。だけど一向に思い出せない。 部屋の中を少し歩く。床に寝ていたせいか身体が痛い。主に腰と首と頭。 座椅子式のソファーの具合を調べる。
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