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遅い、グズ、ノロマ、ドジ、アホ、マヌケ……食事を並べる間、親の仇でも見るかのように睨みつける少女、それを気持ちいいと捉えるかただの罵倒と捉えるかは僕の自由で、 この際だから両方を再現してみようと、試みよう思った僕はクリエーターかな。
彼女は背の低いテーブルの下に足をだらし無く伸ばし、少し窮屈そうにしながらも、僕の作った料理を味わった。
さて、彼女は誰だろう。
政治家風に言うなら、さっぱりと言って言いほど記憶にございません。
朝の小鳥の囀り、夕日の中帰ろうかと尋ねるカラスの群れ、静かに語る昆虫、ああこの部屋は正確な時間が計れない。
僕は不自然な頭痛に襲われてこめかみを押さえる。
「大丈夫?」
ソファーに座って雑誌を読んでいた彼女が、驚いて僕を気遣う。
「残り回数、ゼロ」
「何言ってるの? それ昨日終わった話じゃないの?」
少女は笑いながら再び雑誌に目線を移した。
そして僕には疑問符が増えた。大量生産も大概にしないとな。
そろそろ生物的な意味じゃなく整理をしたい気持ちになってきた。どうやったらこの疑問符を減らせるか……ぽくぽくぽく、チーン、とりあえず学校へ行くべきだ。と結論、僕にトンチと探偵に必要な要素は無いようだ。
要らないけどね。
雑誌をとりあえずといった感じで眺める彼女、洋服ダンスを漁る僕。
「どこ行くの?」
「義務を果たしに行くんだ」
若干目線に気を使いながら着替え、僕がTシャツに首を通したところで「早く帰ってね」とだけ言った。雑誌で隠れて表情はわからない。
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