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出会いは満月の夜
「…………ふぅ……」
煉瓦造りの道に突然、巨大な鞄が置かれる。
……いや、寧ろ「置いた」というよりは「放った」という表現の方が正しいかもしれない。
ともかく、煉瓦造りの道に置かれた鞄には、一人の少女が座っていた。
「………ようやく着いたか……」
闇に溶け込むような漆黒のコートを纏った少女は、
「……まったく手間をかけさせおって………だが、その分この町でなら妾も楽しめそうだ………」
そう言って、不敵に笑って鞄から降りた。
「さて……次は、どんな輩なのやら………」
そして、少女はブツブツと呟きながら歩み始めた。
………さっきまで道に置かれていた鞄は、いつの間にか消えていた。
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