1457人が本棚に入れています
本棚に追加
~森の中~
皆は清掃された森の中の道を、列をなして進んで行く。
列の真ん中には商人と荷物が乗った馬車が2台。
その馬車を囲むように並ぶ銃撃部隊。
馬車の前には斬撃部隊。
そして馬車の後方には槍撃部隊。
そんな形で鎧をガチャガチャ鳴らしながら進んでいく。
後方を歩いているジンは、何かの気配を感じ、ふりかえる。
(……気のせいか??)
疑問を感じながらも前を向く
そして木の影から兵士達を睨む無数の目。
歩く事約一時間。
皆は森の中心部で休憩していた。
ジンはソルスの元に歩み寄る。
「おい、気付いてるか??」
皆に気付かれぬよう小声ではなすジン。
「あぁ。約30~40ぐらいいるな」
警戒されぬよう、うつむいたまま答えるソルス。
「いや、まだ増えてる。多分もう少ししたら仕掛けてくるぞ。」
溜め息をつきながら喋るジン。
2人の強さは下級兵士の中では、〝上ノ中〟あたり。
押し殺した気配ぐらいは簡単に感じれる。
だが他の兵士達は何も分かっておらず、楽しく仲間と話していた。
そんな中、とうとう気配の主が仕掛けて来た。
「ギャァァァァァァァ」
1人の兵士が叫び声をあげる。
ソルスとジンは慌てて、悲鳴を上げた兵士の元に走る。
そこには倒れる兵士の足に牙を突き立てる黒い影があった。
「狼か……。」
冷静に呟くソルス。
ジンは槍を握り狼を突く。
ドスッ
鈍い音を立て矛先が狼の胸部辺りに刺さり、動かなくなる。
「大丈夫か??」
ジンは噛まれた兵士に歩み寄り尋ねる。
「痛みますが……なんとか…」
苦しそうに呟きながらも立ち上がる。
「…誰かこいつを馬車まで運んでくれ。」
そう言うと2人の兵士が近寄ってき、怪我をした兵士を連れていく。
最初のコメントを投稿しよう!