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「土方さーん!」
総悟が俺の顔を見るなり、嬉しそうな顔をしながら俺の元へ駆け寄ってきた。
「これ、あげやす!」
何のようかと思えば、総悟は後ろから大切そうに一輪の花を俺に手渡してくる。
「って、これ彼岸花じゃねぇかッ。なんつーもん摘んできやがる。屯所が火事になったらどうするんだよ、コラ」
そんな俺の怒鳴り声を、気にするどこか、俺を挑発するように総悟はニヤッと不適な笑みを浮かべている。
「あれー、土方さん。そんな迷信信じてるんですかィ?」
「信じてねーよ」
そんな俺の言葉を聞き、総悟は突然、真面目な顔で俺を見つめた。
そんな総悟の顔を不思議そうに見つめ返していると、俺の唇に"ちょん"と総悟が指を押しあててきたのだ。
その行動にほんのり顔を赤らめ総悟から背を向けると、信じられねぇ…いや、総悟らしい言葉を発した。
「安心して下せェ!土方さん。火事になるのはアンタの部屋だけなんで」
「安心できるかァアアアアア。ボケェエエエエ!!!あー、こんなもん要らねー。捨ててやる」
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