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総悟に彼岸花を渡され数日が経った。一輪しかなかった彼岸花が、日を追うごとに一本、二本と増えていく。その理由は総悟が毎日、花瓶のなかに花を生けていくからだ。
始めは、余り気にならなかったがここまで続くと気にならない訳ながない。
そして、また今日も総悟が俺の部屋に彼岸花を花瓶に生けに来た。聞くのは今しかないと思った俺は口を開き総悟に声を掛けた。
「なぁ、総悟」
「なんですかィ?土方さん」
俺の問い掛けに総悟はキョトンとした顔で首を傾げる。その顔は年相応な表情で正直、可愛いと思う。否、そうじゃなくて…
「何で、毎日彼岸花を摘んでくんだよ」
「秘密でさァ。アンタみたいな鈍感野郎には絶対に教えてあげやせん」
「なんだとコラッ!って居ねェエエ」
俺があまりの怒りに俯いていた一瞬の内に総悟は俺の部屋から出ていってしまっていた。
全く、何を考えてるのかてんで分からねぇ。そう考えながら立ち上がり山崎と見回りに出かけたのだ。
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