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次の日、総悟はまた彼岸花を持ってやってきた。そんな総悟の様子ににやけて顔が緩む。そんな俺を見て総悟が怪訝そうな顔をしている。
「何ニヤニヤしてるんでィ。きもちわりー」
「ちょっと良いことがなってな」
総悟の悪態を聞いても、いつものように怒りが沸き上がらない。
「へー、何があったんでィ。マヨラー土方コノヤロー」
今の俺には総悟のどんな言葉も愛の囁きに変換されるみたいだ。
「ある花の花言葉を知ってな。思うはあなた一人っていうの何だけどよ」
「そ、それが何か関係があるんでィ」
「それでな、その花言葉を持つ花を毎日持ってきてる奴がいてよー。そいつが、めちゃくちゃ可愛く見えてな」
「ばーか、死ね。キモイでさァ」
俺に罵倒をぶつけてるみたいたが俺にはまったく聞かない。寧ろ愛しさが増した。赤く染まった頬、恥ずかしさで潤んだ瞳、小さな唇。全てがいとおしい。
「総悟、おいで…」
その一言で総悟は胸の中に飛び込んできた。俺は優しく受けとめ優しく背中を撫でる。そうしていると、総悟はこの甘い雰囲気にうっとりと目を細める。
「明日からは俺が花を送ってやるよ」
情熱の愛を意味する真っ赤な赤い薔薇を…。
おわり
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