彼岸花

6/6
前へ
/7ページ
次へ
次の日、総悟はまた彼岸花を持ってやってきた。そんな総悟の様子ににやけて顔が緩む。そんな俺を見て総悟が怪訝そうな顔をしている。 「何ニヤニヤしてるんでィ。きもちわりー」 「ちょっと良いことがなってな」 総悟の悪態を聞いても、いつものように怒りが沸き上がらない。 「へー、何があったんでィ。マヨラー土方コノヤロー」 今の俺には総悟のどんな言葉も愛の囁きに変換されるみたいだ。 「ある花の花言葉を知ってな。思うはあなた一人っていうの何だけどよ」 「そ、それが何か関係があるんでィ」 「それでな、その花言葉を持つ花を毎日持ってきてる奴がいてよー。そいつが、めちゃくちゃ可愛く見えてな」 「ばーか、死ね。キモイでさァ」 俺に罵倒をぶつけてるみたいたが俺にはまったく聞かない。寧ろ愛しさが増した。赤く染まった頬、恥ずかしさで潤んだ瞳、小さな唇。全てがいとおしい。 「総悟、おいで…」 その一言で総悟は胸の中に飛び込んできた。俺は優しく受けとめ優しく背中を撫でる。そうしていると、総悟はこの甘い雰囲気にうっとりと目を細める。 「明日からは俺が花を送ってやるよ」 情熱の愛を意味する真っ赤な赤い薔薇を…。     おわり
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加