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小さい頃、俺とバージルは…約束を交わした。
それは、果たせない約束になってしまっても忘れない。
それがバージルがその時、俺を認めてくれた昔の懐かしい思い出だから…。
「アンタは、これで良かったんだろう?……バージル。」
満月が輝く夜空を見上げて俺は、久しぶりに泪を流した。
バージルを止められなかった事、魔界に落ちて行くバージルを救えなかった事が悔しかった。
そして、それを拒絶したバージルに…俺は、悲しかった。
「果たせない約束をするもんじゃないよな。」
泪を手で拭い俺は、そう呟いて地面に刺していたリベリオンを抜いて歩き出した。
もうバージルは、いない。
これから、一人で…バージルの分まで生きて行こうと決めて俺は、満月の輝く夜空の下を歩き続けた。
「なぁ、バージル。」
「何?」
「俺達、何があってもずっと一緒にいようなぁ♪」
「いきなり、なんだ?」
「いいから約束しろよ!」
「分かった。約束する。」
「有難うなぁ、バージル♪」
果たせない約束。
真紅のコートを揺らしながら町並みを歩くダンテは、懐かしい夢を見て依頼へと出掛けていた。
それは、もう…何年前の小さい双子の約束。
大きくなった二人の果たせなかった約束。
END
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