追跡

2/2
前へ
/328ページ
次へ
ある女の子が夜、大事なノートを学校に忘れ物をしたのに気付き一人で取りに行きました。 夜の学校は不気味なのでさっさと帰ろうと忘れ物を持ち教室を出て廊下を急ぎ足で歩いていたところ、ふと窓の方に目をやると向こうの校舎から同じ様にこっちを見ている少女がいました。 その校舎はカタカナの"コ"の字型になっていて、ちょうど"コ"の下の棒に女の子がいて、中庭をはさんで向こう、上の棒に少女がいたそうです。 この時間に自分以外の人が校舎にいるのを不思議に思い、廊下を歩いて向こう側に行くとぼんやりと人影が見え、更に近付いて行くと、少女が窓の下枠に肘をかけて向こうを見ているのが見えました。 そして、その少女が見えるのと同時に気付いたのはその少女の胸から下が何も無いということでした。 女の子が恐怖で固まった瞬間、その少女が振り返り凄まじい形相で睨み付けて来たのです。 女の子は必死になってその場から逃げ出し、走りながら肩ごしに振り返って後ろを見ると、すぐ後ろから腕を組んで、匍匐前進のようにして女の子がすごいスピードで追い掛けて来ました。 このままじゃ追い付かれると女の子は思い、トイレに駆け込んで、一番奥の個室に入って鍵をかけてうずくまりましたが、すぐにトイレのドアが開く音がして、しかも個室の一つ一つがチェックされているのが聞こえて、「ここにはいなぁ~い・・・。」「ここにもいなぁ~い・・・。」。 次は自分の番だ!女の子は震えながらうつむきましたが、いつまで経っても自分の所には来ません。 助かったと思い、女の子がほっとして顔をあげると、ドアの上のふちに肘をかけている少女がこっちを見下ろして、にやりと笑いました。 「み~つけた♪」。
/328ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加