怪談

音楽堂

最初くらいは自分で体験した話を書きたいと思います。
私が通っていた音楽堂には三連ブースという場所があります。
ピアノが置いてあるブースが３ヶ所、横に並んでいます。
三連ブース全体が個室みたいな所に存在しているので、そこに行くためには扉を開けなければなりません。
ある日、後輩のＭが三連ブースの一番奥のブースでピアノを練習していると、誰かがブースの横を過ぎった気配がしたそうです。
しかし、三連ブースに来るために開けなければならない扉が開く音はしませんでした。
その扉は、やけに音がするのでピアノを弾いてても大抵開く音が聞こえるはずなのです。
あまり気にせずピアノをまた練習していると、再び、今度ははっきりと気配を感じたそうです。
そして、Ｍの居るブースの横を過ぎて行ってしまいました。
その先は壁だというのに…。
Ｍがブースから出てみても誰も居なかったそうです。
何日か経って同輩のＳに聞いた話では、音楽堂が建つずっと前に、今はそのブースがある位置で自殺をした人が居るそうです。