言霊

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アナタは気付いていましたか?   アタシの嘘を…。   アタシはアイツに嘘をついた。 社交辞令… みたいなつもりだった。 その場のノリ? と聞かれても、否定は出来ない。   いつも一緒に遊んだり、お互いに愚痴をこぼしあったり、悩みを話しあったり、笑ったり泣いたり…。   友達? そう。 良き友人と言ったとこか…。   アタシは彼氏はいないし、アイツも彼女がいない。   だけどお互い、恋愛感情は抱いていないはずだった。   いや、アタシが一方的にそう思い込んでいただけか…。   「実は俺…お前の事が…好きなんだ❗」   ある日突然、良き友人だと思っていたアイツから告白された。   予想もしないアイツの台詞。 アイツからの告白。   アタシは思いがけない出来事に固まったまま。   アイツが真剣な真っ直ぐな目でアタシを見てる。 アタシはその目に耐えられず答えた。   「アタシも好きだよ」   嘘。 そんな感情なんて抱いてないくせに…。   傷つけたくなかった。 傷つきたくなかった。   とっさに出た嘘の言葉。 その後の事なんて全然考えもしてなかった。       アタシは嘘をついた。 だけど、言葉には力がある。   アタシが嘘をついた瞬間、どんどんアイツが気になり始めた。 アイツの事が…   アイツの仕草… 口癖… アタシに対しての気配り… 優しいところ… 温かくて大きな手… 無邪気な笑顔…。   電話で声を聞く度に… 会う度に…   アタシの中で、アイツの存在がドンドン大きくなっていく…。   アタシは嘘をついた。   嘘をついたはずだった。 その場しのぎの嘘を…。   言葉には力がある。   一度口にした言葉には不思議な力が宿るという。   アタシがついた嘘が今… 本物になろうとしている…。   笑顔でアタシを見つめるアイツにアタシは言おう。   「好きだよ❗」   今度は嘘じゃなく、本物の気持ちで…。   言葉には不思議な力がある。 でも、もう嘘の言葉は言わない。 言ってはいけない。   これからは言葉の力を大切にしたいから…。
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